SIとは?SIerとSEの違いから将来性まで一目でわかる解説

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情報システムが企業活動に欠かせない現代、SIという言葉をよく耳にするようになりました。しかし、SIとは具体的に何を指すのか、SIerやSEとはどう違うのか、そしてその将来性はどうなのか。これらの疑問を持つ方は少なくありません。

この記事では、SIの基本的な意味から、SIerやSEとの違い、そして将来性までを分かりやすく解説します。IT業界に興味がある方はもちろん、システム導入を検討している企業の方にも役立つ内容となっています。

目次

SIって何?基本から理解しよう

SIという言葉は聞いたことがあっても、その正確な意味を理解している人は意外と少ないものです。まずはSIの基本から見ていきましょう。

SIの正式名称と意味

SIとは「System Integration(システムインテグレーション)」の略称です。日本語に訳すと「システム統合」となります。複数のシステムやソフトウェア、ハードウェアなどを組み合わせて、一つの大きなシステムとして機能するように統合することを指します。

例えば、企業が新しい基幹システムを導入する際、既存の会計システムや人事システム、在庫管理システムなどを連携させる必要があります。これらバラバラに存在していたシステムを一つにまとめ上げ、スムーズに連携できるようにする作業がSIです。

システムインテグレーションの具体的な役割

システムインテグレーションの役割は、単にシステムをつなぎ合わせることだけではありません。企業の業務プロセスを分析し、最適なシステム構成を設計した上で、それを実現するための技術的な統合作業を行います。

具体的には以下のような役割を担っています:

  1. 業務分析と要件定義
  2. システム設計
  3. ソフトウェア開発・カスタマイズ
  4. ハードウェア選定・構築
  5. システム間の連携・統合
  6. テストと品質保証
  7. 導入支援とトレーニング
  8. 保守・運用サポート

これらの工程を通じて、企業の業務効率化やコスト削減、競争力強化などの経営課題解決に貢献します。

SIが提供するサービスの範囲

SIが提供するサービスは多岐にわたります。システム開発の初期段階から運用・保守まで、幅広いフェーズをカバーしています。

まず、コンサルティングフェーズでは、企業の経営課題や業務プロセスを分析し、最適なIT戦略を提案します。次に設計フェーズでは、システムの全体像を設計し、必要な機能や性能要件を明確にします。

開発フェーズでは、実際にシステムを構築します。既存のパッケージソフトのカスタマイズや、新規のソフトウェア開発などを行います。そして、テストフェーズでは、開発したシステムが要件通りに動作するかを検証します。

最後に、導入・運用フェーズでは、完成したシステムを実際の業務環境に導入し、その後の運用・保守をサポートします。このように、SIは企業のIT環境構築における「ゆりかごから墓場まで」のサービスを提供しているのです。

SIとSIerの関係性を整理する

SIとSIerという言葉は似ていますが、実は意味が異なります。ここではその関係性を整理していきましょう。

SIerとは何か?企業としての位置づけ

SIerとは「System Integrator(システムインテグレーター)」の略で、SIを提供する企業や事業者のことを指します。つまり、SIは「サービス」であり、SIerはそのサービスを「提供する会社」という関係です。

日本では大手IT企業から中小のシステム開発会社まで、様々な規模のSIerが存在します。NTTデータ、富士通、NECなどの大手企業は、国内SIer市場の上位を占めています。

SIを提供する企業の特徴

SIerには、いくつかの特徴があります。まず、幅広い技術力と業務知識を持っていることが挙げられます。システム統合には、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど様々な技術領域の知識が必要です。さらに、顧客の業務プロセスを理解し、最適なシステム提案ができる業務知識も求められます。

また、プロジェクト管理能力も重要です。SIプロジェクトは複数のベンダーや協力会社と連携して進めることが多く、全体のスケジュールや予算、品質を管理する能力が不可欠です。

さらに、SIerは単なる技術提供者ではなく、顧客の経営課題を解決するパートナーとしての役割も担っています。そのため、コンサルティング能力やソリューション提案力も求められるのです。

日本独自の「SIer」という呼び方について

「SIer」という呼び方は、実は日本独自の表現です。海外では一般的に「System Integrator」と呼ばれることが多く、「SIer」という略称は日本のIT業界で生まれた言葉です。

この日本独自の呼び方が生まれた背景には、1990年代以降の日本のIT産業の発展があります。企業の情報システム部門が外部委託を進める中で、システム構築を一括して請け負う企業の存在感が高まりました。そうした企業を表す言葉として「SIer」という呼称が定着していったのです。

海外では同様のサービスを提供する企業を「IT Consultant」や「IT Service Provider」と呼ぶこともあり、必ずしも「System Integrator」という言葉だけで統一されているわけではありません。

SIとSEの違いをはっきりさせよう

SIとSEは混同されがちですが、実は全く異なる概念です。ここではその違いを明確にしていきます。

SEとは何か?職業としての位置づけ

SEとは「System Engineer(システムエンジニア)」の略で、情報システムの設計や開発、運用などに携わる技術者のことを指します。つまり、SEは「職業」や「役割」を表す言葉です。

システムエンジニアの主な仕事は、クライアントの要望に基づいてシステムの設計図を作成し、プログラマーに指示を出して実際のシステム開発を進めることです。また、開発したシステムのテストや導入、保守なども担当します。

SIerとSEの役割の違い

SIerとSEの最も大きな違いは、SIerが「企業」を指すのに対し、SEは「職業」を指すという点です。SIerという企業の中で、SEという職種の人が働いているという関係性になります。

SIerはシステム統合サービス全体を提供する企業であり、その中にはSEだけでなく、営業担当者やプロジェクトマネージャー、プログラマー、インフラエンジニアなど様々な職種の人材が在籍しています。

一方、SEはシステム設計や開発という特定の役割を担う技術者です。SEはSIer以外の企業、例えばユーザー企業の情報システム部門やソフトウェア開発会社などでも働いています。

表で比較!SIerとSEの主な違い

SIerとSEの違いを表で整理すると、以下のようになります。

比較項目SIerSE
定義システムインテグレーションを提供する企業システム設計・開発を行う技術者
種類企業・事業者職業・役割
範囲システム統合サービス全体システム設計・開発という特定業務
NTTデータ、富士通、NEC などプロジェクト内で設計を担当する技術者
関係性SEを雇用する側SIerに雇用される側(ただし必ずしもSIerに所属するとは限らない)

同じ会社に所属していることも

SEはSIerに所属していることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。大手企業や官公庁などの情報システム部門に所属するSEもいますし、ソフトウェア開発会社やITコンサルティング会社に所属するSEもいます。

また、フリーランスとして独立し、複数のプロジェクトに参画するSEも増えています。特に近年は、クラウドサービスの普及により、システム開発の形態が変化し、SEの働き方も多様化しています。

一方、SIerの中でも、SEだけでなく様々な職種の専門家が連携してプロジェクトを進めています。プロジェクトマネージャーがプロジェクト全体を統括し、SEがシステム設計を担当し、プログラマーがコーディングを行い、テスターが品質検証を行うといった具合です。

このように、SIerとSEは密接に関連しながらも、異なる概念として理解することが重要です。

SIの仕事内容を具体的に見てみよう

SIの仕事内容は多岐にわたります。ここでは、SIが提供する具体的なサービス内容を詳しく見ていきましょう。

要件定義から運用・保守までの一貫したサービス

SIの大きな特徴は、システム開発の上流工程から下流工程まで一貫してサービスを提供できる点にあります。

まず最初に行われるのが要件定義です。顧客の業務内容やシステム化の目的を詳細にヒアリングし、新しいシステムに必要な機能や性能を明確にします。この段階では、顧客の「こうしたい」という漠然とした要望を、具体的なシステム要件に落とし込む作業が行われます。

要件が定まったら、次はシステム設計に移ります。基本設計では全体のシステム構成や主要機能を決定し、詳細設計ではプログラムレベルの仕様を決めていきます。

設計が完了すると、実際の開発フェーズに入ります。プログラミングやデータベース構築、インフラ環境の構築などが行われます。

開発後はテストフェーズに移り、単体テスト、結合テスト、システムテスト、受入テストなど複数の段階でシステムの品質を確認します。

そして、本番環境への導入が完了した後も、システムの運用・保守サービスを提供します。障害対応やシステム改修、パフォーマンスチューニングなど、システムが安定して動作し続けるためのサポートを行います。

システム設計と開発の実際

システム設計と開発は、SIの中核となる業務です。システム設計では、業務フローの分析から始まり、必要な機能の洗い出し、画面や帳票の設計、データベース設計などを行います。

例えば、販売管理システムを構築する場合、受注から出荷、請求、入金までの業務フローを分析し、それぞれのプロセスをシステム化するための設計を行います。どのような画面が必要か、どのようなデータをどのように保存するか、他システムとどのように連携するかなどを詳細に検討します。

設計が完了したら、実際の開発作業に入ります。開発言語やフレームワークの選定、プログラミング、データベース構築などを行います。最近では、既存のパッケージソフトウェアをカスタマイズする形での開発も増えています。

開発作業では、品質管理も重要なポイントです。コードレビューやテスト自動化など、品質を担保するための様々な取り組みが行われています。

ハードウェアやネットワークの選定・構築

SIでは、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアやネットワークの選定・構築も重要な業務です。システムの要件に基づいて、最適なサーバー、ストレージ、ネットワーク機器などを選定します。

例えば、大量のデータを高速に処理する必要があるシステムであれば、高性能なCPUやメモリを搭載したサーバーを選定します。また、データの重要性や可用性の要件に応じて、RAIDの構成やバックアップの方式も検討します。

ネットワークについても、必要な帯域や冗長性、セキュリティ要件などを考慮して設計します。拠点間を接続するWAN回線の選定や、ファイアウォールやIDS/IPSなどのセキュリティ機器の導入も行います。

最近では、オンプレミス環境だけでなく、クラウドサービスを活用したインフラ構築も増えています。AWS、Azure、Google Cloudなどのパブリッククラウドサービスを利用する場合でも、最適な構成を設計し、セキュリティや運用面も考慮した環境を構築します。

データの連携と一元管理の実現

企業内には様々なシステムが存在し、それぞれのシステムでデータが管理されています。SIの重要な役割の一つが、これらのシステム間でのデータ連携と一元管理の実現です。

例えば、販売管理システムと会計システムを連携させることで、販売データが自動的に会計システムに反映され、二重入力の手間を省くことができます。また、人事システムと勤怠管理システムを連携させることで、社員情報の整合性を保ちながら効率的な管理が可能になります。

データ連携の方法としては、APIを利用したリアルタイム連携や、バッチ処理による定期的なデータ同期などがあります。また、ETL(Extract, Transform, Load)ツールを使用して、異なるシステム間でのデータ変換と移行を行うこともあります。

さらに、データウェアハウスやデータレイクを構築し、複数のシステムからのデータを一元的に集約・分析できる環境を提供することも、SIの重要な役割です。これにより、経営判断に必要なデータを迅速に取得・分析できるようになります。

SIの活用シーンと事例

SIは様々な場面で活用されています。ここでは、具体的な活用シーンと事例を見ていきましょう。

大規模システム開発での活用例

SIが最も活躍するのは、大規模なシステム開発プロジェクトです。例えば、金融機関の基幹システム刷新や、製造業の生産管理システム構築などが挙げられます。

ある大手銀行では、老朽化した勘定系システムを刷新するプロジェクトを実施しました。このプロジェクトでは、SIerが中心となり、要件定義から設計、開発、テスト、移行までを一貫して担当。複数のベンダーや協力会社と連携しながら、数百人規模のプロジェクトを3年かけて完遂させました。

また、大手製造業では、国内外の工場の生産管理システムを統合するプロジェクトを実施。各工場で個別に運用されていたシステムを標準化し、グローバルで一元管理できる体制を構築しました。このプロジェクトでも、SIerがプロジェクト全体を統括し、各国の法制度や商習慣の違いも考慮しながら、最適なシステム構成を実現しました。

このような大規模プロジェクトでは、技術力だけでなく、プロジェクト管理能力や関係者との調整力も重要になります。SIerはこれらの能力を総合的に発揮し、プロジェクトの成功に貢献しています。

企業のDX推進における役割

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が多くの企業の課題となっています。SIerはDX推進においても重要な役割を担っています。

例えば、ある小売業では、店舗のPOSデータとECサイトの購買データを統合し、顧客の購買行動を一元的に分析できる環境を構築しました。これにより、オムニチャネル戦略の効果測定や、パーソナライズされたマーケティング施策の実施が可能になりました。

また、製造業では、IoTセンサーを活用した工場の見える化プロジェクトを実施。生産設備の稼働状況をリアルタイムに把握し、予防保全や生産計画の最適化に活用しています。

これらのDXプロジェクトでは、従来のシステム開発とは異なる技術や知見が必要になります。クラウドサービス、IoT、AI、ビッグデータ分析など、最新技術を活用したソリューション提供が求められます。SIerはこれらの技術を組み合わせ、企業のDX推進を支援しています。

異なるシステムの統合事例

企業の合併や買収(M&A)に伴うシステム統合も、SIの重要な活用シーンです。

ある保険会社では、M&Aにより複数の会社が統合された際、それぞれの会社で使用していた契約管理システムを一つに統合するプロジェクトを実施しました。データ形式や業務プロセスの違いを吸収し、新会社の業務に最適化されたシステムを構築しました。

また、グローバル展開する製造業では、各国の販売子会社で個別に運用されていた受発注システムをグローバル標準システムに統合。これにより、グループ全体での在庫最適化や、グローバルでの販売状況のリアルタイム把握が可能になりました。

このようなシステム統合プロジェクトでは、既存システムの調査・分析から始まり、データ移行計画の策定、移行ツールの開発、テスト、切り替え作業まで、多岐にわたる作業が必要になります。SIerはこれらの作業を計画的に進め、業務への影響を最小限に抑えながらシステム統合を実現します。

SIの将来性について考える

SIの将来性については様々な見方があります。ここでは、現状の市場規模から将来の展望まで、多角的に考えていきましょう。

SIerの市場規模の現状

日本のSIer市場は、依然として大きな規模を維持しています。矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内SIer市場規模は約6兆円と推計されています。

この市場を牽引しているのは、金融、製造、流通、公共などの大規模なシステム開発案件です。特に、レガシーシステムのモダナイゼーションや、DX推進に関連するシステム開発需要が増加しています。

また、SIer各社の業績も堅調です。大手SIerの多くは、安定した売上と利益を確保しています。ただし、中小SIerの中には、技術者不足や価格競争の激化により、厳しい経営環境に置かれている企業もあります。

「SIerはなくなる」といわれる理由

一方で、「SIerはなくなる」という見方もあります。その主な理由は以下の通りです。

まず、クラウドサービスの普及により、オンプレミスでのシステム構築が減少しています。AWSやAzureなどのパブリッククラウドサービスを利用すれば、インフラ構築の手間が大幅に削減されます。また、SaaS(Software as a Service)の普及により、パッケージソフトウェアの導入・カスタマイズ案件も減少傾向にあります。

次に、ノーコード・ローコードツールの発展により、プログラミングスキルがなくても簡単にアプリケーションを開発できるようになっています。これにより、従来SIerに依頼していた開発案件の一部が、ユーザー企業の内製化に移行する可能性があります。

さらに、グローバル競争の激化も課題です。インドや中国などのオフショア開発企業との価格競争が激しくなっており、単純な開発案件では価格面で不利になることもあります。

将来も残り続ける理由と根拠

しかし、SIerがすぐになくなるとは考えにくい理由もあります。

まず、日本企業特有の業務プロセスや商習慣に精通したSIerの存在価値は依然として高いと言えます。特に、金融や製造などの業界では、業界特有の知識や経験が必要であり、これらを蓄積しているSIerの役割は重要です。

また、複雑なシステム統合やレガシーシステムのモダナイゼーションなど、高度な技術力とプロジェクト管理能力が求められる案件では、SIerの存在価値は変わりません。クラウドサービスやSaaSを活用する場合でも、それらを適切に組み合わせ、既存システムと連携させるためのSIの役割は引き続き重要です。

さらに、DXやAI活用など、新たな技術トレンドへの対応も進んでいます。多くのSIerは、クラウドやAI、IoTなどの新技術に積極的に投資し、従来のSIに加えて、新たな付加価値を提供できるよう変革を進めています。

大型案件におけるSIerの強み

特に大型システム開発案件では、SIerの強みが発揮されます。

大規模プロジェクトでは、技術力だけでなく、プロジェクト管理能力や関係者との調整力も重要になります。数百人規模のプロジェクトを計画通りに進め、品質・コスト・納期を管理するノウハウは、SIerの大きな強みです。

また、複数のベンダーや協力会社が参画する大型プロジェクトでは、全体を統括するインテグレーターの役割が不可欠です。SIerはこの役割を担い、プロジェクト全体の成功に貢献します。

さらに、大型案件では、システム開発だけでなく、業務改革や組織変革も同時に進めることが多いです。SIerはシステム面だけでなく、業務面でのコンサルティングも提供し、クライアントの経営課題解決を総合的に支援します。

このような総合力は一朝一夕には身につかないものであり、長年の経験と実績を持つSIerの強みとなっています。

これからのSIに求められること

SIが今後も存続し、発展していくためには、変化への適応が不可欠です。ここでは、これからのSIに求められることを考えていきましょう。

クラウド時代のSIの変化

クラウドサービスの普及により、SIの形態も変化しています。従来のオンプレミス環境でのシステム構築から、クラウドサービスを活用したシステム構築へとシフトしています。

これに伴い、SIerに求められるスキルセットも変化しています。AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォームに関する知識や、それらを活用したシステム設計・構築のスキルが重要になっています。また、クラウドネイティブな開発手法やDevOpsの実践など、新たな開発アプローチも求められています。

さらに、マルチクラウド環境やハイブリッドクラウド環境の設計・構築・運用も重要なテーマです。複数のクラウドサービスを組み合わせたり、オンプレミス環境とクラウド環境を連携させたりするためのノウハウが求められています。

このような変化に対応するため、多くのSIerはクラウド関連の技術者育成や、クラウドサービスベンダーとのパートナーシップ強化を進めています。

高付加価値なサービス提供の必要性

単純な開発作業はコモディティ化が進み、価格競争が激化しています。これに対抗するためには、高付加価値なサービス提供が必要です。

例えば、業務コンサルティングとシステム開発を組み合わせた総合的なソリューション提供が挙げられます。顧客の業務プロセスを深く理解し、業務改革とシステム化を一体的に推進することで、より高い価値を提供できます。

また、AIやIoT、ブロックチェーンなどの先端技術を活用したソリューション開発も重要です。これらの技術を顧客の業務課題解決に適用するためのノウハウを蓄積し、差別化を図ることが求められています。

さらに、アジャイル開発やDevOpsなど、新たな開発手法・運用手法の導入も進んでいます。これらの手法を活用することで、より短期間で価値を提供し、継続的な改善を実現することができます。

エンジニア不足への対応策

SIerにとって、優秀なエンジニアの確保・育成は大きな課題です。IT人材の需給は逼迫しており、特にクラウドやAIなどの先端技術に精通した人材の獲得競争は激化しています。

この課題に対応するため、様々な取り組みが行われています。まず、社内教育の強化です。多くのSIerは、クラウドやAIなどの新技術に関する研修プログラムを充実させ、既存エンジニアのスキルアップを図っています。

また、働き方改革も重要なテーマです。リモートワークの導入や、フレックスタイム制の拡充など、柔軟な働き方を可能にすることで、優秀な人材の確保・定着を図っています。

さらに、オフショア開発やニアショア開発の活用も進んでいます。国内のエンジニア不足を補うため、海外の開発拠点を活用する企業が増えています。特に、ベトナムやフィリピンなどのアジア諸国との協業が活発化しています。

また、開発の自動化・効率化も重要な取り組みです。ローコード開発ツールの活用や、CI/CDパイプラインの構築など、少ない人員でも効率的に開発を進められる環境整備が進んでいます。

まとめ:SIの基本と将来性を理解しよう

SIとは、複数のシステムやソフトウェア、ハードウェアを統合し、一つの大きなシステムとして機能させるサービスです。SIerはそのサービスを提供する企業であり、SEはシステム設計・開発を担当する技術者です。

SIの仕事内容は、要件定義から設計、開発、テスト、導入、運用・保守まで多岐にわたります。特に、複雑なシステム統合や大規模プロジェクトの管理において、SIerの役割は重要です。

SIの将来性については、クラウドサービスの普及やノーコード・ローコードツールの発展により、従来型のSIは変革を迫られています。しかし、業務知識とIT技術を組み合わせた高付加価値なサービス提供や、DXやAI活用など新たな技術トレンドへの対応を進めることで、SIerの存在価値は今後も維持されるでしょう。

これからのSIに求められるのは、クラウド時代に適応した技術力の強化、高付加価値なサービス提供、そしてエンジニア不足への対応です。これらの課題に適切に対応することで、SIerは今後も企業のIT戦略を支える重要なパートナーであり続けるでしょう。

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